試合終了のホイッスルが鳴ると、パルク・デ・プランスの芝生に11人の男たちが力尽きて倒れ込んだ。彼らは失望に導かれてグリーンのじゅうたんに突っ伏したのではない。バルセロナに大勝したという充実感と緊張から解かれた開放感が、そうさせたのである。

スタジアムが興奮のるつぼと化した中でプレスネル・キンペンベ、クリストファー・ヌクンク、アドリアン・ラビオの3人は抱擁し、お互いを称え合った。ナーセル・アル=ケライフィ会長にとっては夢のような出来事だったに違いない。この試合がそうでなかったら、一体何が彼の夢だというのだろうか。QSIがパリ・サンジェルマンを買収して以降、最高のパフォーマンスだったと言っても決して言い過ぎではない。

スクリーンに映し出された「4−0」という文字は光り輝いて見えた。

PSGはスペインの雄が誇る魔法のような個人技を、強固なチームプレーによって封じ込めた。セカンドレグが3月8日に控えているとはいえ、いつもなら難攻不落の要塞のように見えるカンプ・ノウがシャンゼリゼ通りのようにきらめき、楽しく、自由に歩いて通れる場所に思える。

今回はセカンドレグを前に、なぜこのような誰にも予想できなかった事態が起こったのか、記憶に残しておくべきポイントが何だったのか、振り返って見ることにしよう。

■ポイント1:原動力はエメリ監督

ウナイ・エメリ監督はベンチに座って試合を見つめるタイプの監督ではない。

スペイン人らしい情熱的な気質を持ち、いつもピッチサイドで大声を出している。バルセロナ戦でも一分たりともじっとしている場面は見られなかった。右から左へ、左から右へ、選手たちがボールを動かすのに合わせて忙しなく歩いていた。前半は監督のすぐ前にいたレイヴァン・クルザワやトーマス・ムニエに指揮官のツバが飛んでいたに違いない。

ここ数年、PSGは国内で圧倒的な強さを示しながらヨーロッパの大会では今ひとつに終わっていた。しかし、昨夏にパリへやってきたエメリ監督が眠れる獅子を目覚めさせ、覚醒へと導いたのだ。

Unai Emery PSG Barcelona Champions League 14022017

■ポイント2:記憶すべきキンベンべの働き

バルセロナ戦前日にチアゴ・シウバがふくらはぎを負傷したというニュースを聞いたPSGサポーターは不安に駆られていた。代わりに出場するのが経験の浅いキンベンベだったからだ。

しかし、周囲の心配をよそに21歳のフランス代表DFはほぼ完璧なプレーを披露した。

開始早々からルイス・スアレスを相手に引けを取らないことを証明し、後半には2度ほどフィジカル勝負でリオネル・メッシを吹き飛ばしてみせた。クリーンシートの達成に大きく貢献したことは言うまでもない。

Presnel Kimpembe PSG Barcelona Champions League 14022017

■ポイント3:バルサはPSGを見くびっていた?

PSGが素晴らしい夜を過ごした一方、この日のバルセロナはバルセロナではなかった。一対一にことごとく負け、メッシ、スアレス、ネイマールの強力スリートップは眠りについたかのように静かだった。

バルセロナには敬意を払うが、ここまで来るとラウンド16に臨むための準備が欠けていたのではないかと勘ぐりたくなってしまう。まるでPSGが自分たちに大きな問題をもたらす存在だと認識していなかったようだった。

多くのバルセロニスタがそうだったように、パルク・デ・プランスの夜は失望に満ちた時間だったと言う他ない。

Neymar Adrien Rabiot Paris SG FC Barcelona UEFA Champions League 14022017

■ポイント4:注目すべきスタッツ

PSGはこの戦前までほとんどバルセロナに勝てていなかった。9試合戦って白星は一つのみ。また、エメリ監督も通算23回対戦して一度しか勝てていなかった。

両者にとってバルサは文字通りの鬼門、まるで開ける術がない門の形をした壁にぶつかっていくようなシチュエーションだった。

しかし、門は開いた。しかも、誰もが予想しなかった形で。

■ポイント5:最大の功労者はPSGのサポーター

最後にサポーターの存在を上げないわけにはいかない。この日、PSGを愛する者たちは事前に待ち合わせをし、パルク・デ・プランスへの道を行進して歩いた。ここぞとばかりに発煙筒がたかれ、横断幕や旗が掲げられた。

試合前から高められた戦いの温度は開始のホイッスルが鳴ってから歓喜の瞬間まで一度も下がることなく煮えたぎり、ホームチームの背中を押した。最高の雰囲気、絶頂、歓喜がスタジアムを包んでいたのだ。

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