ラ・リーガを制した。公式戦49試合で14ゴール14アシスト。スーペルコパ・デ・エスパーニャも掲げた。数字だけを見れば、これは大成功のレンタル移籍だったはずだ。それなのに、彼に値段をつけるクラブは、最後まで現れなかった。
マーカス・ラッシュフォードが、マンチェスター・ユナイテッドに戻ってきます。ただ、これを「復帰」と呼んでしまうと、事の本質を見誤ることになります。
ようこそ、ユナイテッドの赤い悪魔。RDJの時間です。
事実関係から整理しておきましょう。バルセロナが持っていた買い取りオプションは3000万ユーロ、日本円でおよそ56億円。この権利が6月15日に失効しました。レンタル契約そのものも6月末で満了。ユナイテッドとの契約は2028年6月まで残っているため、ラッシュフォードは書類の上で、自動的に古巣の選手へ戻ったことになります。誰かが望んで呼び戻したわけではない。
そこで、ひとつ疑問が浮かびます。あれだけ結果を出した選手に、なぜ最後まで買い手がつかなかったのか。
バルセロナ側の事情は、実はかなりはっきりしています。ハンジ・フリック監督はラッシュフォードの働きを高く評価していたと伝えられていますが、クラブは今夏、アンソニー・ゴードンとカリム・アデイェミという2人のアタッカーを獲得した。つまり、左サイドの緊急性が消えたということです。財政的な制約を抱えるクラブにとって、56億円を追加で払う理由が、もうどこにもなかった。
本人は残留を強く望んでいました。ワールドカップの前に去就を決着させたかった、という趣旨のコメントも残しています。それでも、決断は下りなかった。
移籍先の候補としてパリ・サンジェルマンやミランの名前も挙がりましたが、いずれも具体的な交渉には進んでいません。トルコのクラブへの移籍についても、そうした計画はないと報じられています。
ここまでは表の話だ。だが、本当に見るべきなのは、ここから先だと私は思っています。
ラッシュフォードに買い手がつかない最大の理由は、実は実力ではありません。年俸です。チャンピオンズリーグ出場のボーナスなども含めた彼の給与水準は、現地ではサッカー界でも最高水準と表現されている。つまり彼は、市場から外れているのではなく、値札が高すぎて棚から動かない状態にある。
そしてこの構造は、皮肉なことに、マイケル・キャリックにとって悪い話ではありません。売れない選手は、出ていけない。交渉のテーブルでは、クラブ側が一方的に強い立場に立てるということです。
実際、7月18日にファブリツィオ・ロマーノが伝えたところによると、ユナイテッドはラッシュフォードをプレシーズンから合流させる計画で、キャリック自身が彼と仕事をしたがっている。放出があるとすれば、欧州のトップクラブから相応のオファーが届いた場合に限られる、という内容でした。
前監督のルベン・アモリムの時代、ラッシュフォードは練習の場からも遠ざけられました。今回は、そこが違う。キャリックとの間に問題はないと報じられており、彼はまず、カリントンで評価される段階から始まります。
では、これは彼にとってのチャンスなのか。それとも、逃げ場を失っただけなのか。
私の見方はこうです。これは復帰ではなく、再審査だ。
現地のジャーナリスト、アンディ・ミッテンは、ラッシュフォードが来季もユナイテッドの選手である可能性を80パーセント程度と見ています。合流はダブリンでの合宿からになる見込みで、プレシーズンはこのあとアトレティコ・マドリード、パリ・サンジェルマン、リーズ・ユナイテッドと続き、開幕戦は昇格組のハル・シティとの一戦です。
28歳。キャリアの真ん中で、彼はもう一度、出発点と同じ場所に立たされることになった。あなたなら、この状況の選手に、開幕のスタメンを託せるでしょうか。
キャリックが最初のトレーニングで彼の何を見るのか。私はそこに、今季のマンチェスター・ユナイテッドの基準そのものが表れると思っています。
赤い悪魔の物語は、まだ続く。チャンネル登録と高評価、よろしくお願いします。