過去にも成功していた「5-3-2」

 オランダは攻撃サッカーの国、さらに一貫して4-3-3のフォーメーションを採用する国として知られているが、ルイ・ファン・ハール監督もこの流儀の信奉者として知られている。しかし、AZを率いていた2007?08シーズン序盤、チームが前年度からの不振を引きずったため、いよいよファン・ハール自身のクビも危うくなり、守備にアクセントを置き、カウンターで効率よく攻めるサッカーに転換。それが功を奏してAZをリーグ優勝に導いたことがある。
 彼曰く、守備ラインを自陣深い位置に下げて戦ったサッカーは「決して守備的なサッカーではなく、エースのムニル・エル・ハムダウイ(現マラガ/スペイン)の前方にスペースを作り、彼の攻撃力と得点力を最大限に生かすための攻撃的なシステムなんだ」と言い張り続けていた。

今のオランダの戦力ではスペイン、さらにチリ相手にも中盤で勝てそうもないため、ポゼッション合戦を放棄することにした。さらに個々のDFの能力、経験が足りないため、5バックと2人の守備的中盤による堅い守備ブロックを構築した。攻撃面では「ゴールデン・トライアングル」による速攻と個人技にかけた。見方を変えれば、オランダはスナイデルのパス能力と、ロッベンのスピード、ファン・ペルシの並外れた能力を最大限に発揮するため、あえて全体のラインを下げて、この3人にスペースを作ったのだとも言える。こうして、ファン・ハールは大会1カ月前から5-3-2という新しい取り組みを始めた。

それが、オープニングマッチのスペイン戦でパーフェクトに機能した。ヨーロッパリーグでも勝ち上がれなくなった斜陽のオランダリーグの若い選手を多数含むこのチームが、世界・欧州王者のスペインを5?1と破ったのは、間違いなくオランダのサッカー史に残る偉業と呼べるだろう。
誤算は不運なPKからスペインに先制されてしまったことだった。5月17日のエクアドル戦(1-1)、31日のガーナ戦(1-0)と2度の練習試合でオランダは5-3-2を試し、守備の面では相手にほとんどチャンスを作らせず、まずまずの手応えを得ていたが、ビルドアップではいつもの4-3-3と勝手が違うため、ボールをうまく前へ運ぶことができなかった。試合でビハインドを負った場合、どのような策をとるか――ファン・ハールにもいくつかのアイデアはあっただろうが、練習試合でそれを試すまでの余裕が無かった
「ウェズレイ(・スナイデル)がビッグチャンスを外し、われわれはPKで失点する嫌な展開になった。ハーフタイムに入ったら私は選手にどんな話をしようかと考え込んでいた。ロビン(・ファン・ペルシ)のゴールは本当に重要だった」

 チームと指揮官を救ったこのゴールの瞬間、オランダのコーチングスタッフ、控え選手はおろか、広報責任者までベンチから飛び出して大喜びした。しばらくしてから前半終了の笛が鳴り、最高の気分でオランダはハーフタイムを迎えた。そして彼らは自信をみなぎらせて後半のピッチへ戻ってきた。
ロッベンの完璧なトラップからのドリブルシュート(2点目)、オランダの不安要素でもあったセンターバックのステファン・デ・フライが放ったセットプレーからのシュート(3点目)、GKイケル・カシージャスのミスを見逃さなかったファン・ペルシのとどめのシュート(4点目)、スナイデルの自陣からのスルーパスを受けたロッベンが独走したチーム5点目のゴール……5-3-2という布陣は変わらないのに、オランダはいつのまにか守備的サッカーから攻撃的なサッカーへと姿を変え、後半だけで大量4点を奪い、無敵艦隊スペインを沈めてしまった。

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画像と引用元:http://static.goal.com/422900/422929_heroa.jpg
http://samuraisoccer.doorblog.jp/archives/26591108.html
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http://brazil2014.yahoo.co.jp/column/detail/201406140008-spnavi

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